クリゾチニブ投与中に髄膜癌腫症で増悪し,アレクチニブ投与にて改善した肺腺癌の1例
中村 保清 佐渡 紀克 西原 祐美 深田 寛子 田尻 智子 北 英夫
高槻赤十字病院呼吸器科
症例は51歳,男性.咳嗽・腰痛を主訴に受診し胸部X線写真で右肺多発結節影を指摘された.精査にてanaplastic lymphoma kinase(ALK)陽性肺腺癌,多発肝・骨転移(cT4N3M1b Stage IV)の診断となった.クリゾチニブによる治療を開始し肺野病変の縮小を認めたが,頭痛・嘔吐が出現し悪化した.頭部MRI写真・髄液細胞診陽性により髄膜癌腫症と診断し,抗癌剤をアレクチニブに変更し神経症状の改善や髄液細胞診の陰性化を認めた.重篤な副作用を認めず経過し,現在も治療を続けている.
Received 5 Jan 2015 / Accepted 13 Feb 2015
連絡先:中村 保清
〒569-1096 大阪府高槻市阿武野1-1-1
高槻赤十字病院呼吸器科
日呼吸誌, 4(2): 139-143, 2015