肺ノカルジア症12例の臨床的検討―単一施設の後方視的研究―
石黒 卓a 高柳 昇a 五ノ井 透b 田村 仁樹a 高久洋太郎a 鍵山 奈保a 渡邊 哲b 亀井 克彦b 杉田 裕a
a埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
b千葉大学真菌医学研究センター
肺ノカルジア症の臨床的な特徴に関する報告は限られている.2003~2014年に自施設で経験した肺ノカルジア症12例を,後方視的に検討した.平均年齢は69歳,男性10例.経過中に8例の混合感染を認めた.ST合剤を投与した9例中5例は,副作用のため他薬へ変更した.観察期間内に本症による喀血死1例を認め,5例が他病死した.結論として,肺ノカルジア症には混合感染がまれではなく,ST合剤は副作用の頻度が高い.本症の予後については,合併症の影響が無視できない.
Received 18 Aug 2014 / Accepted 3 Nov 2014
連絡先:石黒 卓
〒360-0105 埼玉県熊谷市板井1696
埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
日呼吸誌, 4(2): 133-138, 2015