シタグリプチンによる薬剤性肺障害と考えられた1例
花香 哲也a,b 今永 知俊a 川上 覚a 井手ひろみa 森脇 篤史a 迎 寛b
a製鉄記念八幡病院呼吸器内科
b産業医科大学医学部呼吸器内科学
症例は63歳,女性.2型糖尿病に対してシタグリプチンを服用開始4日後より咳嗽が出現し,服用16日後の製鉄記念八幡病院受診時には低酸素血症と,胸部CTにて両肺びまん性にすりガラス影を認めた.気管支鏡検査を含む各種検査で感染症は否定的であり,薬剤リンパ球刺激試験でも強陽性を示したシタグリプチンによる肺障害と考えられた.人工呼吸管理を要す呼吸不全に陥ったが,ステロイド投与により速やかに改善した.Dipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害薬は繁用されており,まれながら肺障害に留意すべきである.
シタグリプチン 薬剤性肺障害 薬剤リンパ球刺激試験 DPP-4阻害薬 KL-6
Received 23 Jan 2014 / Accepted 18 Mar 2014
連絡先:花香 哲也
〒805-0050 福岡県北九州市八幡東区春の町1-1-1
製鉄記念八幡病院呼吸器内科
日呼吸誌, 3(4): 594-598, 2014