重度の肝機能障害を合併しステロイド剤の併用が奏効した粟粒結核の1例
近藤あかりa 松田 宏幸a 土屋 一夫a 丹羽 充a 平田 健雄a 須田 隆文b
a静岡市立静岡病院呼吸器内科
b浜松医科大学第二内科
症例は73歳の女性.食欲不振と意識障害を主訴に受診し,胸部CTにてびまん性の微細粒状影を認め入院となった.骨髄穿刺で類上皮細胞肉芽腫があり,喀痰と尿培養で結核菌を検出し粟粒結核と診断した.イソニアジド,リファンピシン,エタンブトールで治療を開始したが,入院時より認められた肝機能障害は悪化し黄疸を呈したため,ストレプトマイシンを追加し血漿交換とステロイド剤を併用し肝機能障害は改善した.肝生検でも肉芽腫性病変が確認され,肝結核に起因した肝機能障害と判断した.黄疸をきたす重度の肝機能障害を伴う粟粒結核の予後は不良であり文献的考察を加えて報告する.
Received 14 Jan 2014 / Accepted 17 Mar 2014
連絡先:近藤 あかり
〒420-8630 静岡市葵区追手町10-93
静岡市立静岡病院呼吸器内科
日呼吸誌, 3(4): 590-593, 2014