
当院で経験した単一施設内でのアデノウイルスの集団感染による肺炎の事例
a東京大学医学部感染症内科
b練馬光が丘病院呼吸器内科
c東京警察病院呼吸器科
2008年4~7月の間に単一寮内の生活者および施設職員が多数発熱し,15人が肺炎と診断された.アデノウイルス迅速検査,アデノウイルスペア血清抗体価は複数名で陽性となった.1症例に対して経気管支肺生検を行ったところアデノウイルス肺炎に合致する病理像を認め,肺組織PCR検査でアデノウイルス11型が検出された.アデノウイルス11型は通常出血性膀胱炎を起こすが,これによる肺炎集団感染の報告は,我が国ではなされていない.若年者集団において,予防のためのワクチン接種を検討していく必要があろう.
Received 30 Dec 2013 / Accepted 3 Apr 2014
連絡先:若林 義賢
〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学医学部感染症内科
日呼吸誌, 3(4): 580-584, 2014