Topics 7 慢性血栓塞栓性肺高血圧症の臨床―過去から未来へ―
千葉大学大学院医学研究院先端肺高血圧症医療学寄附講座(呼吸器内科学)
慢性血栓塞栓性肺高血圧症の病態は,血栓の反復由来とする説よりも,静脈血栓はそのトリガーで,病態進行には肺動脈での血栓進展や,細小血管のリモデリングが重要とする説が有力である.従来重症肺高血圧例では内科的治療には限界があり,予後不良とされてきたが,近年,手術成績の向上,非手術適応患者におけるバルーン肺動脈形成術の進歩,肺血管拡張薬により,その予後の改善がみられる.さらに,非手術適応の本症の適応薬としてリオシグアトも承認された.本症は,その存在を念頭に置き診断すれば,治療可能な疾患であることを強調したい.
慢性血栓塞栓性肺高血圧症 肺動脈内膜摘除術 バルーン肺動脈形成術 換気・血流シンチグラフィー
連絡先:田邉 信宏
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千葉大学大学院医学研究院先端肺高血圧症医療学寄附講座(呼吸器内科学)
日呼吸誌, 3(4): 505-511, 2014