Topics 6 強皮症に伴う血管病変としての肺高血圧症
日本医科大学アレルギー膠原病内科
肺高血圧症(PH)は,さまざまな疾患に関連して発症するが,強皮症(SSc)に伴うPHは予後不良な特有のサブセットを形成している.SSc-PHではPHをきたす肺動脈性肺高血圧症,肺静脈性閉塞性疾患,左心疾患によるPH,肺疾患によるPHが併存する場合が多い.既存の肺血管拡張薬は肺動脈性肺高血圧症に対する効果しか期待できないうえに,他の病態によるPHを顕性化または悪化させるリスクがある.治療開始前の病態評価が困難なため,運動耐容能の維持を目指して頻繁な病態モニタリングと治療調整を実践することが必要である.
連絡先:桑名 正隆
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日本医科大学アレルギー膠原病内科
日呼吸誌, 3(4): 498-504, 2014