増大する肺内神経鞘腫を伴った家族性多発性神経鞘腫の1例
鈴木 雅文a,d 菅野 雅之b 上野 学d 渥實 潤b 茂木 充a 小川 晃c 清水 雄至a
a国立病院機構高崎総合医療センター呼吸器科
b同 呼吸器外科
c同 臨床検査科
d群馬大学医学部附属病院呼吸器・アレルギー内科
症例は35歳,女性.胸部X線で左肺門部に異常陰影を認め受診.computed tomography(CT)にて,左肺上葉に表面整な腫瘤影を認め,良性腫瘍として観察中,2年の経過で肺腫瘍は増大し,positron emission tomography(PET)でも異常集積を認めた.骨盤や左大臀筋内にも軟部結節影を認めたものの,診断と治療目的で胸腔鏡補助下肺区域切除術を施行した.その結果,組織所見は神経鞘腫で,検査所見と家族歴を考慮し,肺内神経鞘腫を伴った家族性多発性神経鞘腫と診断した.肺良性腫瘍の場合でも,増大する場合には,神経鞘腫を含めた鑑別診断と,適切な処置が必要と考えられた.
Received 1 Oct 2013 / Accepted 13 Dec 2013
連絡先:鈴木 雅文
〒370-0829 群馬県高崎市高松町36
国立病院機構高崎総合医療センター呼吸器科
日呼吸誌, 3(3): 418-421, 2014