各種肺炎におけるプロカルシトニン測定の臨床的有用性の評価
山本 善裕a,b 橋口 浩二c 澤井 豊光d 福田 雄一e 井上 祐一f 福島喜代康g 栁原 克紀h 河野 茂b
a富山大学大学院医学薬学研究部感染予防医学講座
b長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座
c日本赤十字社長崎原爆病院内科
d独立行政法人国立病院機構嬉野医療センター呼吸器科
e佐世保市立総合病院呼吸器科
f健康保険諫早総合病院呼吸器科
g日本赤十字社長崎原爆諫早病院呼吸器科
h長崎大学大学院医歯薬学総合研究科展開医療科学講座
肺炎の重症度および予後と炎症マーカーの関連性を明らかにするため,市中肺炎,院内肺炎,医療ケア関連肺炎患者263例について検討を行った.肺炎の重症度に伴いプロカルシトニン(PCT)は高値を示したが,C反応性蛋白(CRP),白血球数とは相関しなかった.各検出菌間でPCT値に有意差は認めなかったが,重症度で層別化するとHaemophilus influenzaeおよびStreptococcus pneumoniae群では重症度の高い群で有意に高値を示した.治療終了時のPCT値で予後のROC分析を行った結果,AUCは0.938と予後予測因子として優れていた.PCTは肺炎の重症度と予後指標として有用である.
市中肺炎 院内肺炎 医療ケア関連肺炎 プロカルシトニン 予後指標
Received 22 May 2013 / Accepted 3 Oct 2013
連絡先:山本 善裕
〒930-0194 富山市杉谷2630
富山大学大学院医学薬学研究部感染予防医学講座
日呼吸誌, 3(1): 50-55, 2014