肺炎後の慢性壊死性肺アスペルギルス症で閉塞性から拘束性換気障害に転じた肺気腫症例
田代 尚樹 田中 誠 原田 泰志 石井 寛 藤田 昌樹 渡辺憲太朗
福岡大学病院呼吸器内科
症例は70歳,男性.8年前より慢性閉塞性肺疾患と診断され治療を受けていた.画像では両上葉優位に気腫を認め,呼吸機能検査では経年的に閉塞性換気障害が進行していた.3ヶ月前に肺炎に罹患し,陰影が残存したため当院へ紹介となった.慢性壊死性肺アスペルギルス症を併発しており,換気障害のパターンが閉塞性障害から拘束性障害に変化した一方で,1秒量は以前よりも増加していた.肺炎および慢性壊死性肺アスペルギルス症の罹患前後で画像所見を比較すると,気腫性変化が著明であった上肺野に線維化を伴った収縮性変化が出現していた.
慢性閉塞性肺疾患 肺気腫 器質化肺炎 閉塞性換気障害 拘束性換気障害
Received 13 May 2013 / Accepted 11 Jul 2013
連絡先:石井 寛
〒814-0180 福岡市城南区七隈7-45-1
福岡大学病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(6): 828-831, 2013