鎮咳薬「トニン咳止め液®」による薬剤性肺炎を合併した関節リウマチの1例
山下 裕之 井上眞璃子 土屋 遥香 高橋 裕子 金子 礼志 狩野 俊和 三森 明夫
国立国際医療研究センター膠原病内科
関節リウマチ治療中の48歳,男性.右上葉の浸潤影出現にて国立国際医療研究センター膠原病内科入院も外泊するたびに両肺野に広範なすりガラス状陰影を認め,問診を取り直したところ,外泊中,「トニン咳止め液®」という鎮咳薬を多量に服用していることが判明し,それに伴う薬剤性肺炎であると診断した.その後,その内服を禁止したところ,外泊を繰り返しても再燃は認められなくなった.末梢リンパ球刺激試験の結果は陰性で過去に「トニン咳止め液®」による薬剤性肺炎の報告はないが,本人が意図しない薬剤誘発試験(drug provocation test:DPT)による再燃増悪という経過が,結果的に原因薬剤同定の根拠となった.本症例のような場合,薬剤性肺炎の可能性も鑑別に挙げることが重要と考えられる.
Received 12 Apr 2013 / Accepted 24 Jun 2013
連絡先:山下 裕之
〒162-8655 東京都新宿区戸山1-21-1
国立国際医療研究センター膠原病内科
日呼吸誌, 2(6): 809-813, 2013