愛玩犬の口腔より同一株由来の菌体を検出しえたPasteurella multocida肺炎の1例
岡田 広司a 池田 督司a 田村 志宣b 吉松 卓a 那須 英紀a 中野 好夫a
a社会保険紀南病院内科
b同 血液腫瘍内科
症例は64歳,男性.屋内飼育のイヌとの濃厚接触歴あり.発熱および咽頭痛,前胸部の違和感の主訴で社会保険紀南病院内科紹介.胸部CT検査で左下葉S8に浸潤影を認めた.その後も画像的改善ないため,気管支鏡検査を施行したところ,検体中よりPasteurella multocida菌体を同定した.CTガイド下生検においても同菌体を認め,飼育犬の口腔内からも同菌体を検出した.これらのゲノムDNAを解析したところ,同一株であることが示唆された.穿刺検体においても,飼育犬口腔内常在菌と同一株が示唆される菌体が同定できた貴重なP. multocida肺炎の症例として,文献的考察も加えて報告する.
Pasteurella multocida 肺炎 人獣感染 愛玩動物 気道感染症
Received 8 Apr 2013 / Accepted 20 Jun 2013
連絡先:中野 好夫
〒646-8588 和歌山県田辺市新庄町46-70
社会保険紀南病院内科
日呼吸誌, 2(6): 804-808, 2013