反復する呼吸器感染を起こしたsignal transducer and activator of transcription 3(STAT3)遺伝子変異を伴う高IgE症候群の1例
倉上 優一a 関根 朗雅a 奥寺 康司b 織田 恒幸a 萩原 恵里a 馬場 智尚a 小倉 高志a
a神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器科
b横浜市立大学大学院医学研究科病態病理学
症例は43歳,女性.乳児・小児期に反復する皮膚膿瘍の既往があり,11歳時より肺炎で4回の入院歴がある.39歳時に男児を出産したが,同児が生後3週から難治性湿疹を呈し血清IgE高値であったため,同児の遺伝子検索を行いsignal transducer and activator of transcription 3(STAT3)に変異を認めた.本症例も血清IgE高値であり,同遺伝子変異を認めた.当院受診時の43歳時には左下葉に高度の気管支拡張を認め,喀痰から緑膿菌を複数回検出した.その後,同部位に反復する感染を呈したため,左下葉切除術を施行した.STAT3の遺伝子変異はまれであるが,反復する呼吸器感染がある場合,鑑別にあげる必要がある.
Received 13 Mar 2013 / Accepted 7 Aug 2013
連絡先:関根 朗雅
〒236-0051 神奈川県横浜市金沢区富岡東6-16-1
神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器科
日呼吸誌, 2(6): 773-777, 2013