多発肺転移,骨転移をきたした前縦隔原発平滑筋肉腫に対し化学療法を行った1例
小野健太郎a 竹田 知史a 藤並 舞a 福田 光輝a 加藤 友美a 齊藤 隆一a 孫野 直起a 上田 哲也a 坂東 憲司a 岩永幸一郎b 植田真三久b 長谷川吉則a
a大阪府済生会中津病院呼吸器内科
b同 呼吸器外科
症例は63歳,女性.咳嗽を主訴に受診した.胸部CTにて前縦隔に82 mm×47 mmの腫瘤影および両側肺多発結節を認めた.胸腔鏡にて舌区の結節を生検し,平滑筋肉腫の診断を得た.FDG-PETにて前縦隔腫瘤以外に原発と考えられる病変を認めず,前縦隔原発平滑筋肉腫の多発肺転移と考えた.stage IVの軟部肉腫の標準的治療法は確立されておらず,進行縦隔原発平滑筋肉腫に対する化学療法の有効性に関する報告は少ない.本症例は軟部肉腫に対するこれまでの報告を参照してドキソルビシン塩酸塩(doxorubicin)を8コース投与し,11ヶ月の無増悪生存期間が得られ,18ヶ月後も生存している.
Received 17 Jan 2013 / Accepted 4 Jul 2013
連絡先:小野 健太郎
〒530-0012 大阪市北区芝田2-10-39
大阪府済生会中津病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(6): 742-745, 2013