喀痰の鏡検で診断されたウエステルマン肺吸虫症の1例
田中希宇人a 猶木 克彦a,b 扇野 圭子a 石岡 宏太a 佐山 宏一a,c 別役 智子a
a慶應義塾大学医学部呼吸器内科
b同 腫瘍センター
c川崎市立川崎病院呼吸器内科
症例は26歳,男性.血痰と右上葉の胸部異常陰影で受診した.採血でIgE高値,クォンティフェロン®TB-3G(QFT)陰性,喀痰抗酸菌塗抹,胃液抗酸菌塗抹,ともに陰性であった.CTで虫道と考えられる一部葉間胸膜に連続する気道に沿わない線状影を認めたことと,調理師の職業歴から,肺吸虫症を鑑別に挙げた.喀痰の鏡検を行ったところ,ウエステルマン肺吸虫の虫卵が確認できた.プラジカンテルによる治療により,症状および画像所見の改善を認めた.
Received 5 Mar 2013 / Accepted 31 May 2013
連絡先:田中 希宇人
〒160-8582 東京都新宿区信濃町35
慶應義塾大学医学部呼吸器内科
日呼吸誌, 2(5): 633-636, 2013