巨細胞性動脈炎の腫瘤形成による中葉無気肺と考えられた1例
片平 雄之a,* 今永 知俊a 榎津 愛美a 立和田 隆a 加藤 香織a 森脇 篤史a
a製鐵記念八幡病院呼吸器科
*現 国立病院機構福岡病院内科
症例は79歳,女性.胸部X線で右中葉無気肺を指摘され,製鐵記念八幡病院紹介入院.気管支内視鏡検査では悪性所見は認めなかった.抗菌薬の加療にて炎症所見は改善したが,右中葉無気肺は残存した.FDG-PET検査でも悪性腫瘍が強く疑われたため,右中葉切除術およびリンパ節隔清術を施行した.組織所見では動脈周囲にリンパ球および巨細胞の浸潤がみられ,血管壁が巨細胞に貪食されており,巨細胞性動脈炎に伴う腫瘤形成により中葉無気肺を起こしたものと考えられた.側頭動脈炎,およびそのほかの臓器には異常はみられなかった.きわめてまれな症例と思われ報告した.
Received 28 Feb 2013 / Accepted 5 Jun 2013
連絡先:片平 雄之
〒805-0050 福岡県北九州市八幡東区春の町1-1-1
製鐵記念八幡病院呼吸器科
日呼吸誌, 2(5): 627-632, 2013