Mycobacterium shimoideiによる非結核性抗酸菌症の1例
大前美奈子a 横村 光司a 吉村 克洋a 佐藤 慈子a 須田 隆文b 千田 金吾b
a聖隷三方原病院呼吸器内科
b浜松医科大学呼吸器内科
症例は77歳,男性.咳嗽を主訴に受診し,胸部X線写真で右上肺野の空洞影を指摘された.喀痰抗酸菌塗抹は繰り返し陽性であったが,polymerase chain reaction法では結核・Mycobacterium avium complexとも陰性で,Mycobacterium属が4週目に培養されたが,菌種の同定はDNA-DNA hybridization法では不能であり,dnaj法によりM. shimoideiと判定された.clarithromycin(CAM)・rifampicin・ethambutolでの治療は有効で,速やかに咳嗽は改善したが,食思不振と体重減少のため治療継続が困難となった.CAMをazithromycinに変更したところ治療継続可能となり,内服開始3ヶ月以内に排菌は陰性化し,陰影の改善が確認された.M.shimoideiによる非結核性抗酸菌症はまれであり,定型的な治療は確立されておらず,今後さらなる症例の集積が必要である.
Mycobacterium shimoidei 非結核性抗酸菌症 dnaj法
Received 20 Feb 2013 / Accepted 15 May 2013
連絡先:大前 美奈子
〒433-8558 静岡県浜松市北区三方原町3453
聖隷三方原病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(5): 622-626, 2013