抗リン脂質抗体症候群を合併した肺腺癌の1例
太田 宏樹a 磯部 和順a 杉野 圭史a 市川 敦央a 若山 恵b 本間 栄a
a東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科
b同 病院病理
症例は59歳,男性.労作時呼吸困難のため近医を受診し,縦隔腫瘍を指摘され東邦大学医療センター大森病院を紹介受診.胸部造影CTでは右肺門から縦隔の腫瘤影と肺動脈内に血栓を認め,超音波気管支鏡にて原発性肺腺癌(cTxN3M0)と診断した.抗カルジオリピンβ2グリコプロテインI複合体抗体高値(抗CLβ2GPI抗体)14.2 U/ml[<3.5]で,抗リン脂質抗体症候群の合併と診断した.初回治療としてカルボプラチンとパクリタキセル併用療法ならびに放射線療法(TD 50 Gy)を施行したところ,腫瘍縮小に伴い抗CLβ2GPI抗体は正常化した.腫瘍随伴症候群として,抗リン脂質抗体症候群を発症した可能性が考えられた.
Received 14 Feb 2013 / Accepted 3 Jun 2013
連絡先:太田 宏樹
〒143-0015 東京都大田区大森西6-11-1
東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(5): 612-616, 2013