喘鳴を伴わずに発症した好酸球性細気管支炎の1例
磯部 全a,b 佐々木信一c 富永 滋c 前野 敏孝b 倉林 正彦b
a医療法人社団磯部クリニック
b群馬大学医学部附属病院呼吸器アレルギー内科
c順天堂大学医学部附属浦安病院呼吸器内科
症例は64歳,女性.4週間前からの呼吸困難,乾性咳嗽を主訴に来院した.喘鳴は認めなかった.入院時,低酸素血症を呈しており,胸部X線では過膨張を認めるのみだったが,胸部CTではびまん性粒状影とすりガラス影を認めた.気管支肺胞洗浄液中の好酸球は増多しており,経気管支肺生検で細気管支への著明な好酸球浸潤を認め,好酸球性細気管支炎と診断した.臨床検査上,末梢血好酸球増多を認める以外に他の細気管支炎を起こしうる原因は認められなかった.好酸球性細気管支炎は,気管支喘息と異同・鑑別が問題となる疾患であり,貴重な症例と考え報告する.
Received 15 Feb 2013 / Accepted 3 Jun 2013
連絡先:磯部 全
〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-15
医療法人社団磯部クリニック
日呼吸誌, 2(5): 607-611, 2013