抗癌剤血中濃度モニター下の維持透析中の肺癌化学療法―自験例と本邦報告のまとめ―
坂本安見子a 増永 愛子a 佐藤 亮a 佐伯 祥a 一安 秀範a 佐々木治一郎a 濱田 哲暢b 興梠 博次a
a熊本大学医学部附属病院呼吸器内科
b同 薬剤部
透析中の肺癌患者2例にカルボプラチン併用化学療法を施行し,血漿中遊離型プラチナ濃度を測定した.初回透析開始時の濃度は6.76~8.16 μg/mlであった.透析後/透析前の濃度の比率は16.4±6.1%で,透析により効率よく排泄された.2回目以降の透析では,透析終了後,次の透析開始までの間に血漿プラチナ濃度が上昇しており,一度組織内に移行したプラチナが血液中に再流入することが示唆された.透析下の化学療法における抗癌剤の血中濃度の測定は,薬物動態の予測と有害事象の回避に有用な可能性がある.
Received 28 Dec 2012 / Accepted 4 Apr 2013
連絡先:興梠 博次
〒860-8556 熊本市中央区本荘1-1-1
熊本大学医学部附属病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(5): 573-577, 2013