化学療法中の白血球減少時にサイトメガロウイルス腸炎を発症した小細胞肺癌の1例
小室 彰男 清水 邦彦 今坂 圭介 高倉 裕樹 平山可菜子 濱中 伸介
済生会横浜市東部病院呼吸器センター
症例は78歳の男性.2007年11月,小細胞肺癌(c-T3N2M1,Stage IV,ED)と診断,カルボプラチン/エトポシドの化学療法施行するも増悪し2008年2月,カルボプラチン/イリノテカンに変更.化学療法第8日目から下痢や好中球減少,麻痺性イレウスを認め31日目には大量に下血した.下血の原因は下部消化管内視鏡検査の所見とcytomegalovirus(CMV)抗原テストの陽性反応からCMV腸炎による小腸出血と考えられた.ガンシクロビル投与にて臨床症状は改善し血中CMV抗原は陰性化した.化学療法中にCMV腸炎を発症した例は比較的まれであり,貴重な症例と考え報告した.
Received 28 Dec 2012 / Accepted 31 May 2013
連絡先:小室 彰男
〒230-0012 神奈川県横浜市鶴見区下末吉3-6-1
済生会横浜市東部病院呼吸器センター
日呼吸誌, 2(5): 567-572, 2013