副腎出血が診断の契機となった肺癌両側副腎転移の1例
藤井 康裕 大原 耕平 高木 弘一 濵田美奈子 松木薗和也 富山由美子 是枝 快房 川畑 政治
独立行政法人国立病院機構南九州病院呼吸器内科
症例は70歳代の肺腺癌の男性.初診時のCTでは副腎腫大を認めず,副腎転移はないと診断したが,右副腎出血をきたしたためPET/CTを行ったところ,両側副腎に集積を認め肺癌の両側副腎転移と診断した.肺癌の副腎転移による出血はまれであり,これまでの報告は11例であった.今回我々は,本症例と合わせて12例の検討を行った.肺癌に罹患した患者が誘因のない腹背部痛や貧血をきたした際には,肺癌の副腎転移による出血も考慮すべきである.また,肺癌患者の副腎転移の診断にはPET/CTが有用である.
Received 22 Nov 2012 / Accepted 14 Feb 2013
連絡先:藤井 康裕
〒899-5293 鹿児島県姶良市加治木町木田1882
独立行政法人国立病院機構南九州病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(4): 442-445, 2013