シタフロキサシン長期投与が有効であった多剤耐性ノカルジア膿胸の1例
及川 卓 加藤 諒 中川 研 水野 史朗 長内 和弘 栂 博久
金沢医科大学呼吸器内科学
症例は76歳,女性.胸膜炎に対しスルバクタム/アンピシリン投与を行い改善したが,レボフロキサシンに変更後より再燃し,膿胸となった.胸水より多剤耐性グラム陽性桿菌を検出,後にNocardia farcinicaと判明した.胸腔ドレナージおよびイミペネム/シラスタチンとミノサイクリン投与を行った後,スルファメトキサゾール-トリメトプリム(ST)合剤に変更するも改善は認められなかった.シタフロキサシン投与後より炎症反応の改善を認め,1年間の投薬継続にて根治した.多剤耐性N. farcinicaにおいて,シタフロキサシンが有効であることが示唆された.
Received 16 Nov 2012 / Accepted 21 Jan 2013
連絡先:及川 卓
〒920-0293 石川県河北郡内灘町大学1-1
金沢医科大学呼吸器内科学
日呼吸誌, 2(4): 424-428, 2013