術前に部分肺静脈還流異常の合併を指摘しえた肺癌の1例
村西 佑介a 上島 康生a 村西 菜苗b 塩津 伸介c 内匠千恵子c 平岡 範也c
a京都第一赤十字病院呼吸器外科
b京都府立医科大学心臓血管外科
c京都第一赤十字病院呼吸器内科
症例は62歳,女性.狭心症で通院中に胸部CTにて左肺S1+2に15 mm大の結節影を指摘された.造影CTにて部分肺静脈還流異常(PAPVC)の合併がみられた.肺体血流比を測定したところ1.12であり,血行再建の必要はないと考えられた.左肺癌の疑いで手術を行ったところ,術中所見でも上肺静脈のすべてと下肺静脈の一部が左腕頭静脈に還流していた.腫瘤を含めてS1+2を部分切除し,迅速病理検査で肺癌と診断されたため左上大区域切除および2群リンパ節郭清を行った.今回我々は,肺癌術前にPAPVCの合併を指摘した1例を経験したため報告する.
Received 14 Sep 2012 / Accepted 7 Mar 2013
連絡先:村西 佑介
〒605-0981 京都市東山区本町15-749
京都第一赤十字病院呼吸器外科
日呼吸誌, 2(4): 385-388, 2013