Pseudoramibacter alactolyticusによる肺化膿症の1例
山川 英晃a,* 高柳 昇a 石黒 卓a 田中香お里b 杉田 裕a 渡邉 邦友b
a埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
b岐阜大学生命科学総合研究支援センター嫌気性菌研究分野
*現 東京慈恵会医科大学附属柏病院呼吸器内科
症例は61歳,男性.歯周炎と齲歯あり.埼玉県立循環器・呼吸器病センター受診の2ヶ月前に肺炎と診断され,抗菌薬を計10日間投与され改善した.1ヶ月半後,再び同部位に浸潤影を認め抗菌薬を計4日間投与された.X線写真で陰影の拡大を認め,加療のため当センターへ入院した.胸水検査でグラム陽性桿菌とグラム陽性球菌が培養され,それぞれActinomyces meyeri,Peptostreptococcus anaerobiusと同定された.同菌による肺化膿症および膿胸と診断したが,その後16S rRNA遺伝子の塩基配列の解析結果から,A. meyeriではなくPseudoramibacter alactolyticus,Pe. anaerobiusではなくPeptostreptococcus stomatisであったと判明した.アンピシリン/スルバクタムの投与で改善した.
Pseudoramibacter alactolyticus Peptostreptococcus stomatis 放線菌症 嫌気性菌感染症 肺化膿症
Received 12 Sep 2012 / Accepted 8 Nov 2012
連絡先:山川 英晃
〒360-0105 埼玉県熊谷市板井1696
埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
日呼吸誌, 2(4): 380-384, 2013