胃瘻造設にて全身状態を改善し化学療法が継続できた原発性肺癌胃転移の1例
吉野 麗子 富澤 由雄 武井 宏輔 桑子 智人 吉井 明弘 斎藤 龍生
独立行政法人国立病院機構西群馬病院呼吸器科
症例は69歳,女性.肺腺癌,術後再発に対しカルボプラチン(carboplatin),ペメトレキセド(pemetrexed),ベバシズマブ(bevacizumab)併用療法後,10コース目のベバシズマブ維持療法中に固形物のつかえが出現した.CTでは胃噴門部小彎側の壁の肥厚を認め,上部内視鏡検査にて噴門部狭窄,同部からの生検組織で肺癌胃転移と診断した.胃瘻造設後ドセタキセル水和物(docetaxel hydrate)による全身化学療法後15日頃には固形物の嚥下が可能となり,噴門部狭窄の改善が認められた.肺癌胃転移はまれで診断も困難であるが,全身状態が良好であれば化学療法も期待しうるため,転移に伴う胃通過障害があっても,胃瘻などの経管栄養による栄養管理のもと,積極的な全身化学療法の施行も考慮される.
Received 4 Sep 2012 / Accepted 17 Jan 2013
連絡先:吉野 麗子
〒377-8511 群馬県渋川市金井2854
独立行政法人国立病院機構西群馬病院呼吸器科
日呼吸誌, 2(4): 375-379, 2013