進行性に肺胞構造の破壊をきたした特発性肺ヘモジデローシスの1成人例
池田 慧a 萩原 恵里b 中澤 篤人b 織田 恒幸b 馬場 智尚b 小倉 高志b
a倉敷中央病院呼吸器内科
b神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科
症例は30代,男性.2009年4月頃に発熱・咳嗽が出現,CTで両側肺の上葉に空洞を伴う浸潤影と,背景肺にびまん性の粒状影・すりガラス影を認めた.非結核性抗酸菌症の診断で治療を開始されたが,2010年1月頃より労作時呼吸困難が緩徐に進行,同年3月のCTで粒状影・すりガラス影が増悪していた.気管支肺胞洗浄液で肺胞出血が疑われ,外科的肺生検を施行し,肺ヘモジデローシスと診断.原因疾患や誘因は不明で,特発性と考えられた.30歳以上の成人の特発性肺ヘモジデローシスはまれである.進行性に肺胞構造破壊をきたし,早期の治療介入が必要と考えられた.
Received 4 Jul 2012 / Accepted 14 Feb 2013
連絡先:池田 慧
〒710-8602 岡山県倉敷市美和1-1-1
倉敷中央病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(4): 354-358, 2013