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書誌情報

症例

感覚性ニューロパチーと膜性腎症が先行し,発症した小細胞肺癌の1例

伊藤  浩 町田 和彦 高村 智恵 大曽根祥子 矢口 大三 松下 明弘 松尾 正樹 

独立行政法人労働者健康福祉機構中部ろうさい病院呼吸器内科

要旨

症例は67歳,男性.中部ろうさい病院の約1年前に膜性腎症と原因不明の感覚性ニューロパチーを指摘された.その際に施行された全身精査では腫瘍性病変を指摘できず,感覚性ニューロパチーに対してステロイド療法およびガンマグロブリン治療を施行されたが症状は進行した.その後の経過中に倦怠感の症状を訴え再度胸部CTを撮影したところ,左肺下葉結節影と縦隔リンパ節腫大を認め気管支鏡検査を施行.小細胞肺癌と診断し病期はcT1aN3M1b-stage IV OSSであった.血清の抗Hu抗体が陽性であり,神経症状は傍腫瘍性感覚性ニューロパチーと診断した.化学療法を行い腫瘍の原発巣とリンパ節腫大は消退.ネフローゼは軽快したが,感覚障害の改善は得られなかった.現時点で再発は認めず経過観察を継続中である.我々は,感覚性ニューロパチーと膜性腎症が先行した後に発症した小細胞肺癌の1例を報告する.

キーワード

小細胞肺癌 傍腫瘍神経症候 亜急性感覚性ニューロパチー 抗Hu抗体 膜性腎症 

Received 18 Jun 2012 / Accepted 25 Jan 2013
連絡先:伊藤 浩
〒455-0008 愛知県名古屋市港区港明1-10-6
独立行政法人労働者健康福祉機構中部ろうさい病院呼吸器内科

日呼吸誌, 2(4): 349-353, 2013

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