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日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 全文PDF

書誌情報

原著

大学病院を受診した肺癌患者の受診契機に関する後方視的解析

高山 浩一 中西 洋一 

九州大学大学院医学研究院臨床医学部門呼吸器内科学分野

要旨

本研究では,1987年から2011年にかけて九州大学病院呼吸器科で原発性肺癌の診断を受けた2,442例について,その受診契機を調査した.肺癌患者の受診契機は有症状受診と無症状受診に分かれ,それぞれ61.2%,38.8%と有症状受診が多かった.無症状受診では健診発見例が14.6%,併存疾患の診療中に偶然発見される場合が24.1%であった.肺癌に伴う症状としては咳,血痰,胸痛の順に多かった.症状の発症から初回医療機関受診までの経緯が確認された1,412例について,受診までの期間は発熱,血痰,息切れ・呼吸困難の順に短く,一方,食欲不振,咳,腰痛などは医療機関の受診が遅い傾向にあった.当院受診までの期間についても同様の傾向を示したが,腰痛,背部痛,嗄声などについては経由する医療機関の数が多く,受診の遅れの一因と考えられた.さらに,初回健診異常を放置した患者が2.2%にみられ,当院受診時にはすでに72%が進行期の状態であった.症状には医療機関を受診する動機として強弱があり,特に動機の弱い症状については広く啓蒙活動を行う必要があると考えられた.

キーワード

肺癌 症状 受診動機 受診までの期間 

Received 5 Apr 2012 / Accepted 1 Aug 2012
連絡先:高山 浩一
〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1
九州大学大学院医学研究院臨床医学部門呼吸器内科学分野

日呼吸誌, 2(2): 85-91, 2013

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