腹腔-静脈シャントにより長期間の乳び腹水管理が可能であったリンパ脈管筋腫症の1例
園田 健人a 安藤 克利a 大島 司b 藤原 典子c 佐藤 輝彦a 瀬山 邦明a 高橋 和久a
a順天堂大学医学部呼吸器内科
b九州厚生年金病院呼吸器内科
c順天堂大学医学部肝・胆・膵外科
症例は38歳,女性.リンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis:LAM)に伴う難治性乳び腹水に対し,腹腔-右鎖骨下静脈シャントを留置した.その後,栄養状態は改善し,腹水は4年以上にわたり良好に管理されたが,腕頭静脈内血栓を生じた.乳び漏に対してシロリムスが有効であること,留置継続によりさらなる合併症の発生が懸念されることから,留置68ヶ月後にシャントを抜去した.本シャントは,LAMの乳び腹水に対する治療として有効であるが,長期の有効性や有害事象については報告が少ない.本例を通じ,留置に際しては,抗凝固療法の併用が重要であると考えられた.
リンパ脈管筋腫症 腹腔-静脈シャント 乳び腹水 静脈血栓症 ワルファリン
Received 14 Mar 2012 / Accepted 27 Jun 2012
連絡先:安藤 克利
〒113-8421 東京都文京区本郷2-1-1
順天堂大学医学部呼吸器内科
日呼吸誌, 2(1): 44-48, 2013