特発性間質性肺炎との鑑別を要し,胸腔鏡下肺生検にて診断しえたサルコイドーシスの1例
黒崎 史朗a 坂東 政司a 武村 民子b 間藤 尚子a 中屋 孝清a 杉山幸比古a
a自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門
b日本赤十字社医療センター病理部
症例は59歳,女性.主訴は労作時呼吸困難,咳嗽,喘鳴であった.胸部X線写真で両側下肺野の網状影を認め,前医で経気管支肺生検(TBLB)を施行されるも確定診断に至らず自治医科大学呼吸器内科紹介となった.間質性肺炎の悪化および肺機能検査で閉塞性換気障害を認めたため,確定診断目的に胸腔鏡下肺生検(VATS)を施行した.非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,サルコイドーシス(サ症)に矛盾しない病理像であり,ステロイド治療で呼吸状態や労作時の低酸素血症は改善した.下肺野優位の間質性肺炎を認めた場合には,特発性間質性肺炎の除外・鑑別すべき疾患の一つとしてサ症を常に念頭に置くべきと考えられた.
Received 8 Feb 2012 / Accepted 9 Jul 2012
連絡先:黒崎 史朗
〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1
自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門
日呼吸誌, 2(1): 24-28, 2013