両側腎細胞癌と多発肺嚢胞を認めたBirt-Hogg-Dubé症候群の1例
江間 亮吾a 森岡慎一郎a 櫻井 亜樹b 三木 良浩a 冨田 和宏a 中村 秀範a
a聖隷浜松病院呼吸器内科
b千葉大学医学部付属病院呼吸器内科
症例は53歳の女性.呼吸困難感を主訴に来院し左自然気胸と診断された.胸部CTで両側中下葉の縦隔側優位に肺動脈,肺静脈に接して分布する卵円形の多発肺嚢胞を認めた.CT所見と両側腎細胞癌の既往からBirt-Hogg-Dubé症候群(BHD症候群)を疑いfolliculin遺伝子を解析し,exon 6に欠失挿入型変異(c.566_577delTGCTGGGGAAGGinsCC)を認め確定診断した.本症候群は皮膚病変であるfibrofolliculoma,腎腫瘍,肺嚢胞の3徴が知られ,本症例は両側腎細胞癌と多発肺嚢胞の合併例であった.気胸が腎腫瘍に先行する例が多く,特徴的な胸部CT所見から本症候群を診断できれば生命予後にかかわる腎腫瘍の発病を予測し早期治療できる可能性がある.自然気胸の診療で本症候群を鑑別に挙げることは重要である.
Birt-Hogg-Dubé症候群 自然気胸 肺嚢胞 腎細胞癌 folliculin遺伝子
Received 14 Dec 2011 / Accepted 17 May 2012
連絡先:江間 亮吾
〒430-8558 静岡県浜松市中区住吉2-12-12
聖隷浜松病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(1): 13-17, 2013