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日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 全文PDF

書誌情報

原著

歩行能力を指標に分類した要介護者を含む医療関連肺炎の検討

白井 佐和 高瀬 直人 田幡江利子 芥川  茂 橋本 重樹 

市立池田病院呼吸器内科

要旨

2005年に,American Thoracic Society/Infectious Disease Society of Americaガイドラインの中で医療ケア関連肺炎(health care-associated pneumonia:HCAP)という新しい概念が提唱されたが,日本と米国とでは医療環境が異なるため日本独自の医療・介護関連肺炎(nursing and health care-associated pneumonia:NHCAP)のガイドラインが作成された.市立池田病院での肺炎入院患者において,HCAPの概念を用いて分類した場合とNHCAPの概念を用いた場合との臨床像について比較検討した.今回は歩行能力を指標に自立歩行不能な患者を要介護者と定義し,市中肺炎(community-acquired pneumonia:CAP)群から要介護者を除いた群をtrue CAP群,要介護者をHCAP群に加えた群をnHCAP群とした.分離菌はCAP,true CAPでStreptococcus pneumoniaeHaemophilus influenzaeが多く,HCAP,nHCAPでPseudomonas aeruginosa,MRSAが有意に多かった.CAP/HCAPの検討では重症度や死亡率がHCAPで高い傾向にあったが有意差はなかった.true CAP/nHCAPの検討では重症度,死亡率ともにnHCAPのほうが有意に高かった.院外発症の肺炎治療においては,HCAPよりもNHCAPの概念を用いたほうが有用である可能性が示唆された.NHCAPは地域や施設によって臨床像に差があるとされており,各地域での検討が必要と考えられる.

キーワード

医療ケア関連肺炎 医療・介護関連肺炎 介護 歩行能力 耐性菌 

Received 14 Nov 2011 / Accepted 9 Feb 2012
連絡先:橋本 重樹
〒563-8510 大阪府池田市城南3-1-18
市立池田病院呼吸器内科

日呼吸誌, 1(6): 451-457, 2012

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