多発空洞性肺病変を呈したHodgkinリンパ腫の1例
水守 康之a 望月 吉郎a 中原 保治a 河村 哲治a 佐々木 信a 小橋陽一郎b
a独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科
b天理よろづ相談所病院病理
症例は19歳男性.主訴は咳嗽,胸痛,血痰.胸部単純X線,胸部CTにて肺野に多発空洞性病変を認めた.頸部リンパ節生検よりHodgkinリンパ腫と診断されたが,肺病変については抗酸菌感染症や真菌感染症を否定できず,診断確定のため胸腔鏡下肺生検を施行した.切除した肺腫瘤の組織からは抗酸菌や真菌等の病原体は認められず,CD30陽性の大型異型細胞を認め,Hodgkinリンパ腫の肺浸潤と考えられた.肺腫瘤の中心には腫瘍細胞の浸潤により閉塞した血管を認め,空洞形成の原因と考えられた.化学療法により肺病変は消失した.初発時に多発空洞性肺病変を呈したHodgkinリンパ腫はまれであり,貴重な症例と考え報告する.
Received 4 Jul 2011 / Accepted 21 Dec 2011
連絡先:水守 康之
〒670-8520 兵庫県姫路市本町68
独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 1(4): 337-342, 2012