肺癌精査中に発見された気管支原発粘液腫の1例
今立 博子a 平野 勝治a,b 岸川 孝之a,c 久冨 恵子a 佐々木英祐a 木下 明敏a,d
a独立行政法人国立病院機構長崎医療センター呼吸器内科
b長崎大学医学部附属病院第二内科
c上五島病院内科
d長崎県島原病院内科
症例は56歳男性.頸部腫瘤の精査目的にて来院.その際,頸胸部CTにて右上葉S1に胸膜陥入像を伴う結節影を認め長崎医療センター呼吸器内科紹介となった.気管支鏡検査にて右B3b入口部に血管の怒張を伴う,表面平滑な淡紅色の腫瘤を認めた.右B1bからの生検にて腺癌の診断,また右B3b入口部の腫瘤の生検にて粘液腫の診断となった.その後,右上葉切除術が施行されpT2aN1M0 Stage IIAの診断となり,術後補助化学療法を行った.粘液腫は成人に生じる比較的まれな腫瘍で,大腿,肩などの筋肉内,大関節近傍を好発部位とする.気管支原発の粘液腫はきわめてまれであるうえ,肺腺癌に合併した症例は我々が調べる限り過去の文献では認められなかった.
Received 21 Jun 2011 / Accepted 27 Dec 2011
連絡先:今立 博子
〒856-8562 長崎県大村市久原2-1001-1
独立行政法人国立病院機構長崎医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 1(4): 332-336, 2012