肝膿瘍の経皮的ドレナージ後に右膿胸と急性呼吸急迫症候群を併発した1例
a苫小牧市立病院呼吸器内科
b同 消化器内科
45歳男性.発熱と食思不振で苫小牧市立病院救急外来を受診し,胸腹部CTにて肝膿瘍と右胸水貯留を認め入院.抗菌薬投与と経皮的肝ドレナージを施行されたが,右胸水の急速な増加と両肺野のすりガラス影が出現し急性呼吸不全となった.人工呼吸管理,胸腔ドレナージおよび洗浄,好中球エラスターゼ阻害薬の投与で改善した.肝膿瘍と右膿胸からともにBacteroides fragilisが検出されたことや,胸腔洗浄中に肝ドレーンから洗浄液の流出を認めたことから,肝膿瘍腔と右胸腔が交通しているものと判断された.経皮的肝ドレナージの合併症として,膿胸・急性呼吸窮迫症候群の併発が起こりうることへの認識が重要と考えられた.
Received 11 May 2011 / Accepted 11 Jan 2012
連絡先:大畑 善寛
〒053-8567 苫小牧市清水町1-5-20
苫小牧市立病院呼吸器内科
日呼吸誌, 1(4): 327-331, 2012