初診時,孤立性肺結節,深内頸部リンパ節病変を呈したリンパ腫様肉芽腫症の1例
春名 茜a 西村 知子a 吉田 博徳a 市川 靖子a 安原裕美子b 西村 尚志a
a京都桂病院呼吸器センター呼吸器内科
b同 病理診断科
症例は63歳,男性.左下肺野の孤立性結節陰影で紹介され,経過中に両肺野に多発結節陰影が広がり,FDG-PET/CTにて頸部リンパ節,肺結節,脾臓に集積を認めた.高度の集積を認めた左頸部リンパ節生検より,組織球性壊死性リンパ節炎と診断,ステロイドを開始した.しかし,両肺の多発結節陰影は数,大きさともに増大し,外科的肺生検を施行,多彩な細胞浸潤,血管壁への細胞浸潤がみられ,Epstein-Barr virus-encoded small RNA(EBER)陽性細胞が多数認められたことより,組織学的にリンパ腫様肉芽腫症grade IIIと診断した.リツキシマブ(rituximab)を含む多剤併用化学療法を行い,多発結節陰影の著明な縮小を認めた.リンパ腫様肉芽腫症はまれなリンパ増殖性疾患であり,治療方針も確立されておらず,貴重な症例と考え報告する.
Received 28 Sep 2011 / Accepted 20 Dec 2011
連絡先:春名 茜
〒615-8256 京都市西京区山田平尾町17
京都桂病院呼吸器センター呼吸器内科
日呼吸誌, 1(3): 261-266, 2012