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書誌情報

症例

経気管支肺生検にて診断し,自然経過で画像所見の改善を認めた肺放線菌症の1例

西田 千夏 矢寺 和博 長田 周也 川波 敏則 石本 裕士 迎   寛 

産業医科大学医学部呼吸器内科学

要旨

症例は,基礎疾患のない57歳男性.2006年2月頃より乾性咳嗽が出現し,同年8月に産業医科大学医学部呼吸器内科を受診した.胸部CTで左上葉に空洞を伴う塊状影と左縦隔リンパ節腫脹を認めたため,気管支鏡検査を行った.経気管支肺生検で硫黄顆粒(ドルーゼ)を認めたため肺放線菌症と診断した.無治療で症状や画像所見が改善傾向を示したため経過観察としたところ,初診より6ヶ月後には無症状となった.胸部CTの所見では左上肺の塊状影は薄壁の空洞のみとなり,左縦隔リンパ節腫脹は消失した.その後も5年以上無治療で経過観察を行っているが,増悪は認められていない.本症では症状や画像所見が経時的に増悪して抗菌薬治療が必要となることや,悪性疾患との鑑別が難しく外科的切除が施行されることが多いが,本症例は無治療での自然軽快を長期間観察しえたまれな症例と考えられた.

キーワード

肺放線菌症 経気管支肺生検 自然軽快 

Received 8 Jul 2011 / Accepted 24 Nov 2011
連絡先:西田 千夏
〒807-8555 福岡県北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1
産業医科大学医学部呼吸器内科学

日呼吸誌, 1(3): 225-230, 2012

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