肺野病変にトラニラストが有効であった皮下型サルコイドーシスの1例
宍倉 裕a 笹森 寛a 泉山 典子a 菊地 正a 三木 祐a 飯澤 理b 菊池 喜博a
a独立行政法人国立病院機構仙台医療センター呼吸器科
b同 皮膚科
症例は67歳,女性.両側前腕や臀部などに皮下硬結を自覚し当院皮膚科を受診.両肘関節から前腕伸側,両膝関節から下腿伸側および臀部の皮下に広範な弾性硬の板状皮下結節を触知し,同部の皮下生検による多核巨細胞からなる類上皮細胞肉芽腫を認めサルコイドーシス疑いにて,当科紹介となった.胸部X線写真上,両側にびまん性粒状影を認めたため,気管支肺胞洗浄検査および経気管支肺生検を施行し肺サルコイドーシスと診断した.皮膚サルコイドに対してトラニラスト(tranilast)300 mg/日の投与を開始したところ,1ヶ月後には皮下硬結は2/3ほどまでに縮小し,触診上も改善を認めた.その後も皮疹は徐々に改善し,約3ヶ月後にはほぼ消退した.また,約5ヶ月後の胸部CTでは,肺のびまん性陰影の改善を認め,血清ACEも正常化した.その後,トラニラストを中止したが再燃を認めていない.
Received 10 Aug 2011 / Accepted 6 Oct 2011
連絡先:宍倉 裕
〒983-8520 宮城県仙台市宮城野区宮城野2-8-8
独立行政法人国立病院機構仙台医療センター呼吸器科
日呼吸誌, 1(2): 165-169, 2012