器質化肺炎の診断でステロイドを投与され一時陰影が改善したと考えられるクリプトコックス症の1例
明石医療センター呼吸器内科
症例は68歳女性.シェーグレン症候群の肺病変に対してステロイドを内服していた.呼吸困難を自覚し,胸部CT上多発する斑状のconsolidationを認め膠原病肺の悪化を疑われた.ステロイドパルス療法およびステロイド量の増量により,症状と陰影の改善を認めた.その後ステロイドは漸減されたが,2ヶ月後呼吸状態,胸部CTで胸膜下に多発する斑状のconsolidationの所見が再増悪し,当院へ紹介受診した.経過および画像所見よりシェーグレン症候群に伴う器質化肺炎を疑ったが,経気管支肺生検を施行したところ,肺胞,組織球内に酵母状真菌を認め,肺クリプトコックス症と診断した.髄膜炎,皮膚病変を併発していたが,抗真菌薬治療でいずれの病変も改善した.クリプトコックスによる急性炎症がステロイドにより抑えられたため,陰影が一時的に改善していたものと推測された.
Received 9 Mar 2011 / Accepted 3 Oct 2011
連絡先:桂田 直子
〒674-0063 兵庫県明石市大久保町八木743-33
明石医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 1(1): 14-19, 2012