

無症候性の浸潤影を呈したPasteurella multocida肺感染症の1例
泉 祐介a 乙原 雅也b 川本 数真c 松本奈穂子a 谷脇 雅也a 山﨑 正弘a
a日本赤十字社広島赤十字・原爆病院呼吸器科
b太田川病院内科
c広島大学大学院分子内科学(内科学第二)
症例は86歳男性.COPDと前立腺癌,猫の飼育歴があった.画像検査で左下葉に無症候性の浸潤影を認め,陰影が悪化傾向となり気管支鏡検査を施行した.気管支洗浄液の培養検査でPasteurella multocidaが検出され,抗菌薬治療を行った.症状はないものの同部位の陰影の悪化と抗菌薬治療を繰り返したが,猫の飼育をやめた後陰影は消退した.ペットの飼育歴と呼吸器系の基礎疾患や免疫能低下がある患者では,P. multocida肺感染症に留意が必要である.また改善後も慎重にフォローする必要がある.
Received 8 Aug 2024 / Accepted 25 Jan 2025
泉 祐介
〒730–8619 広島県広島市中区千田町1–9–6
日呼吸誌, 14(3): 136-140, 2025