薬疹既往がある柴苓湯の再投与で発症した薬剤性肺障害の1例
深沢 友里 宮脇 正芳 中野 亮介 池田 隼樹 楠本 竜也 大芦 彩野
公益財団法人ライフ・エクステンション研究所付属永寿総合病院呼吸器内科
症例は67歳,男性.メニエール病に対して耳鼻咽喉科で柴苓湯を処方されたが皮疹が出現し,内服を中止した.6年後に柴苓湯を再投与されたところ発熱,下痢,呼吸困難が出現した.胸部X線,CTでは肺びまん性すりガラス陰影を認め,柴苓湯の薬剤性肺障害と診断し,ステロイド治療で軽快した.柴苓湯に含まれるオウゴンを含有した漢方薬では薬剤性肺障害の報告が多く,薬疹などのアレルギー性の副作用の報告頻度も多いことから,柴苓湯に含まれるオウゴンが原因の薬疹,薬剤性肺障害と考えられた.
Received 14-May-24 / Accepted 1-Jul-24
宮脇 正芳
〒110–8645 東京都台東区東上野2–23–16
公益財団法人ライフ・エクステンション研究所付属永寿総合病院呼吸器内科
日呼吸誌, 13(5): 250-254, 2024