肺腺癌術後1年後に発症した抗ARS抗体陽性間質性肺炎の1例
露木 佳弘a,b 中西 雄b,c 角本 慎治b,d 阿部 公亮b 濵井 宏介b
a三原市医師会病院内科
bJA尾道総合病院呼吸器内科
c広島市立北部医療センター安佐市民病院呼吸器内科
d広島大学医系科学研究科分子内科学
症例は56歳の女性.左下葉肺腺癌Stage ⅠBに対して術後補助化学療法の施行中に抗ARS抗体陽性間質性肺炎を発症した.抗ARS抗体症候群は悪性腫瘍を合併することが知られているが,過去の報告では抗ARS抗体陽性間質性肺炎の診断時または診断後に悪性腫瘍が診断される症例が多く,悪性腫瘍の治療後に間質性肺炎を発症した報告は少ない.抗ARS抗体陽性間質性肺炎は難治性かつ重症化する症例もあるため,本症例のように悪性腫瘍の治療後でも抗ARS抗体陽性間質性肺炎を鑑別に挙げることが重要である.
Received 27-Feb-24 / Accepted 12-Jun-24
中西 雄
〒722–8508 広島県尾道市平原1–10–23
三原市医師会病院内科
日呼吸誌, 13(5): 232-236, 2024