ニンテダニブ服用中に肺高血圧が進行し抗Th/To抗体が判明した間質性肺炎の1例
田村香菜子 田邉 英高 山内桂二郎 横山 将史 柳瀬 隆文 森下 裕
地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪はびきの医療センター呼吸器内科
65歳男性,特発性間質性肺炎に対して6年前からニンテダニブ(nintedanib)を服用していた.肺高血圧症を発症したが第3群の肺高血圧症と考えられ肺血管拡張薬は導入されていなかった.身体所見を取り直すと手指先端の皮膚硬化を認めたため未測定の強皮症関連抗体を提出したところ抗Th/To抗体が陽性と判明した.全身性強皮症による第1群肺高血圧症と診断し専門病院で選択的肺血管拡張薬を導入いただき病状の改善を得た.間質性肺炎の診療において見逃されている膠原病がないか身体所見や自己抗体を適宜見直しながら診療することが必要である.
ニンテダニブ 間質性肺炎 全身性強皮症 肺動脈性肺高血圧症 抗Th/To抗体
Received 24-Apr-24 / Accepted 29-May-24
田村 香菜子
〒583–8588 大阪府羽曳野市はびきの3–7–1
地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪はびきの医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 13(5): 223-227, 2024