免疫療法により偽増悪をきたしたと考えられた悪性胸膜中皮腫の1例
山田 尭德a,c 山川 英晃a,c 宇塚 千紗a 安達 章子b 松島 秀和a
aさいたま赤十字病院呼吸器内科
b同 病理診断科
c東京慈恵会医科大学附属病院呼吸器内科
症例は77歳,男性.上皮型悪性胸膜中皮腫の診断で一次治療のニボルマブ(nivolumab)+イピリムマブ(ipilimumab)の投与を開始したが,2コース目投与前に胸水の増加に伴い呼吸困難が出現した.病勢進行の可能性があったが,偽増悪(pseudoprogression)を疑いICIの投与を継続した.胸水検査でT細胞性リンパ球が著明に増加し偽増悪に矛盾ない所見を確認でき,その後は症状,陰影ともに軽快した.悪性胸膜中皮腫における偽増悪の報告は稀ではあるが存在し,本例では胸水のセルブロック検体の病理学的評価が鑑別に有用であった.
Received 8 Dec 2023 / Accepted 16 Apr 2024
山田 尭德
〒330–8553 埼玉県さいたま市中央区新都心1–5
さいたま赤十字病院呼吸器内科
日呼吸誌, 13(4): 193-197, 2024