小細胞肺癌との鑑別に苦慮した胸部SMARCA4欠損未分化腫瘍の1例
溝渕 匠平a 榊原 純a 棟方 奈菜a 加藤憲士郎b 大塚 紀幸b 今野 哲a
a北海道大学大学院医学研究院呼吸器内科学教室
b北海道大学病院病理部/病理診断科
症例は61歳男性.血痰と呼吸困難を主訴に受診し,右肺下葉と縦隔内を主座とする巨大な腫瘤性病変を認めた.縦隔リンパ節生検結果から小細胞肺癌や低分化癌,肉腫が疑われた.NSE,ProGRPの上昇があり,小細胞肺癌に準じて化学療法を開始したが,病変の急激な増大を認め,化学療法開始後第25病日に死亡した.死後判明した生前のリンパ節生検と病理解剖結果から胸部SMARCA4欠損未分化腫瘍の診断となった.縦隔や肺門を中心とする巨大腫瘤例に対しては,上記も念頭に置いた対応を考慮すべきである.
Received 27 Feb 2024 / Accepted 1 May 2024
榊原 純
〒060–8638 北海道札幌市北区北15条西7丁目
北海道大学大学院医学研究院呼吸器内科学教室
日呼吸誌, 13(4): 189-192, 2024