肺腺癌の副腎転移との鑑別に苦慮した副腎皮質癌の1例
金子 恵a,b 田上 陽一a 原 悠a 田村 祐規b 南 ひろこc 金子 猛a
a横浜市立大学大学院医学研究科呼吸器病学
b茅ヶ崎市立病院呼吸器内科
c横浜市立大学附属病院病理診断科
44歳男性.肺腺癌と左副腎転移の診断でシスプラチン(cisplatin),ペメトレキセド(pemetrexed),ベバシズマブ(bevacizumab)を開始.ペメトレキセド,ベバシズマブによる維持療法中に原発巣と副腎腫瘍の増大を認めたため二次治療[ドセタキセル(docetaxel)]に移行.副腎腫瘍のみ緩徐に増大した.Synchronous oligometastasesと考えられた副腎腫瘍を切除したところ,副腎皮質癌の組織所見であった.原発性肺癌と同時に発生した副腎皮質癌はきわめて稀であり,文献的考察をふまえ報告する.
Received 22 Aug 2023 / Accepted 1 Apr 2024
原 悠
〒236–0004 神奈川県横浜市金沢区福浦3–9
横浜市立大学大学院医学研究科呼吸器病学
日呼吸誌, 13(4): 184-188, 2024