ボリコナゾールによる無顆粒球症を発症した慢性進行性肺アスペルギルス症の1例
細谷 尭永a,b 西野 亮平a 大岡 郁子a 渡部 雅子a 水本 正a 菅原 文博a
a広島市立北部医療センター安佐市民病院呼吸器内科
b広島大学病院呼吸器内科
慢性進行性肺アスペルギルス症に対し,イトラコナゾール(itraconazole:ITCZ)を投与したが,病勢制御が困難でありボリコナゾール(voriconazole:VRCZ)へ変更した.しかし,変更後2ヶ月で無顆粒球症を認めた.いったんVRCZを休薬し,好中球実数回復後にVRCZを再開したが,約2ヶ月後に無顆粒球症を再度発症した.再度ITCZへ変更すると無顆粒球症は発症しなかった.本例の経験から,VRCZが無顆粒球症の起因となる薬剤であることが示され,その場合アゾール系薬剤内での変更が忍容される可能性が示唆された.
ボリコナゾール 慢性進行性肺アスペルギルス症 特発性薬剤誘発性無顆粒球症
Received 21 Nov 2023 / Accepted 11 Apr 2024
細谷 尭永
〒734–8551 広島県広島市南区霞1–2–3
広島大学病院呼吸器内科
日呼吸誌, 13(4): 175-179, 2024