

胸膜炎で発症したMPO-ANCA陽性多発血管炎性肉芽腫症の1例
志村 暢泰* 長谷川浩嗣 山田耕太郎 霜多 凌 杉山 裕樹 横村 光司
聖隷三方原病院呼吸器センター内科
*現所属:静岡市立静岡病院呼吸器内科
症例は82歳男性.鼻出血,労作時呼吸困難,乾性咳嗽があり,胸部X線で右胸水を指摘された.胸水はリンパ球優位の滲出性胸水で,悪性所見やアデノシンデアミナーゼの上昇なく,各種培養陰性で血清MPO-ANCAが陽性であったことから,ANCA関連血管炎に伴う胸膜炎が疑われた.わが国の診断基準を満たし,Wattsの分類基準も該当したため,多発血管炎性肉芽腫症に伴う胸膜炎と診断し,ステロイド治療により軽快が得られた.ANCA関連血管炎における胸膜炎は認識されにくい病態であるが,鑑別として重要であるため報告する.
Received 21 Dec 2023 / Accepted 12 Mar 2024
志村 暢泰
〒433–8558 静岡県浜松市中央区三方原町3453
静岡市立静岡病院呼吸器内科
日呼吸誌, 13(4): 160-164, 2024