筋膜炎にて発症した顕微鏡的多発血管炎の1例
松島 秀和 大場 智広 山川 英晃 佐藤新太郎 赤坂 圭一 天野 雅子
さいたま赤十字病院呼吸器内科
79歳男性が急性経過の発熱,両側下肢痛と腫脹にて緊急入院した.下肢MRIは筋膜主体の異常信号を認めた.入院後喀血し,気管支肺胞洗浄より肺胞出血と判明,MPO-ANCA高値,筋生検の結果より顕微鏡的多発血管炎と診断された.ステロイドパルス療法後,自覚症状,炎症反応,胸部画像所見は改善し,その後ステロイド減量,免疫抑制剤追加にて病状は安定した.顕微鏡的多発血管炎は全身諸臓器に病変をきたし多彩な症状を呈するが,筋膜炎にて発症することは稀である.筋膜炎の原因として顕微鏡的多発血管炎も考慮すべきである.
Received 9 Feb 2024 / Accepted 2 Apr 2024
松島 秀和
〒330–8553 埼玉県さいたま市中央区新都心1–5
さいたま赤十字病院呼吸器内科
日呼吸誌, 13(4): 155-159, 2024